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おやまビジョン市民会議 おやまビジョン市民会議
市と市民でつくる「おやま市民ビジョン会議」シリーズ セミナー&ワークショップ&報告会 開催レポート 市と市民でつくる「おやま市民ビジョン会議」シリーズ セミナー&ワークショップ&報告会 開催レポート

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1/31開催3地区合同ワークショップ報告(後編)互いの理解から始める未来への対話

1|ワークショップの実施概要

*前編(https://oyamavision.com/column_report/458)の続きです。
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開催日時:2023年1月31日(火)13:00-15:30 
会場:市役所6階 大会議室
参加者:ワークショップ参加37名、アドバイザー(3地区代表)3名
主催:総合政策課(企画・運営:有限責任事業組合 風景社)

●ワークショップの趣旨は・・・
田園環境都市ビジョンとは?の答えに急ぐのではなく「都市環境と田園環境のバランスがとれた状態」とは「どういう状態か?」「どうあるべきか?」「どうありたいか?」について、田園部に住む人、都市部に住む人、そしてさまざまな部署の職員が混じり合って、意見を交換し、ビジョンへの考えを深めていくこと、としました。

●ワークショップの流れは・・・
①3地区の実情の理解と共有(風土生調査アンケート「大切にしたいもの」結果より)
②関係性を見出す(①を軸に、効果・阻害要因・関係性を描くマップを作る)
③その過程で生じた疑問やモヤモヤから、これから考えていきたい「問い」を立てる。
④問いに沿って、未来の小山市のあるべき姿を考え、言葉にしてみる
このような4つのステップで進めていきました。

●参加者は・・・
3地区の風土性調査で聞き取り調査などにご協力いただいた方などへご案内し、同時に、小山市ホームページやSNSで参加者を募りました。また職員も9つの部署から希望者が参加し、37名・8つのグループで進めました。

その様子を時系列に紹介し、最後に各グループの成果品をデータにした画像を紹介します。

2|ワークショップの内容

①お互いの地区を理解しあう
風土性調査のアンケートの設問では、事前の聞き取り(グループインタビュー)成果をもとに選択肢をつくり「未来に残したい、地区の大切なもの」を伺っています。その結果の上位10項目をカードにして、合計3地区・30枚をテーブルに並べ、グループで気になったカードを、該当地区のメンバーが説明したり、お互い質問を交わしたりしながら、相互の理解を深めていきます。

②関係性を見出す
この後の時間でもっと話し合いたいと思うカードを5枚から8枚くらいを目安に選びます。それぞれについて「A効果(大切なものが守られると、どんな良いことがあるか)」「B阻害要因(守られないとしたら、そこにどんな背景や要因があるか)」を色分けして付箋に書き出し、「守りたいもの」カードを軸にどんどん紐付けていき「関係性の読み解きマップ」を作成していきます。

それぞれのグループは、どんな「大切にしたいものカード」を選んでマップ作りをしているのか、途中で一度、発表により共有する時間を設けました。

次に、3色目の付箋を使って、その関係性マップを見ながら生じてくる「C:疑問/モヤモヤ」を言葉にして、マップの中に貼り込んでいきます。そして2回目の発表タイム。マップがほぼ仕上がったところで8グループが発表します。選んだカードも、そこに紐づくことも、メンバーが違えばさまざまで、そこでもまた新しい気づきがあります。

③疑問やモヤモヤから「問い」を立てる 
完成したマップを見ながら、疑問やモヤモヤをベースに、「そもそも、・・・・・?」という形で、これからしっかりと考えていきたい/考えていくと良いことを「問い」として書き出します。疑問と問いの違いは、このような例で確認し合いました。
・疑問:農家さんって(耕作だけじゃなく景観を守るとか)役目が多くて大変じゃない?
・問い:そもそも、みんなが癒される田園風景を守っていくのは、農家さんだけの責任?

●なぜ、問いを立てるのか。
「問いを立てる」ことは、まちづくり系のワークショップではあまり盛り込まれない要素かもしれません。しかし、3ヵ年をかけて作成を目指す「田園環境都市ビジョン」策定のプロセスでは、年齢や職業、地区も多様な市民の方々や、さまざまな部署の職員が混じり合い、それぞれの視点から疑問やモヤモヤを出し合い、そこから「そもそも、なぜ・・?」と問いを立てていくことを大切にしていきます。
それはなぜか。「田園環境と都市環境のバランスの取れた田園環境都市」というイメージが「与えられた」ものから、小山市に暮らす人、働く人々にとってまずは「自分ごと」にしていくためのプロセスとして、大切なことだと考えるからです。また、よく言われる「地域の解決すべき課題を設定する」前に、しっかりと検討した方が良いことを見落とさないため、また、解決策の可能性を広げるためにも必要なことだと考えています。そのようなプロセスを経て、未来ビジョンづくりが「わたしたちごと」に育っていくことも期待しています。

④「問い」に沿って、未来の小山のあるべき姿を考え、言葉にしてみる
この段階でのアウトプットは、グループそれぞれ悩みながらも、8グループ8様のまとめになり、発表タイムとなりました。

⑤浅野市長、3地区からのアドバイザー各氏のコメント
最後に、ワークショップ内容と最後の発表を受けて、浅野市長、3地区の自治会長の代表の方々より、コメントをいただき、閉会となりました。

3|グループごとのまとめ

⑴ 8グループそれぞれのアウトプットから数枚を写真で紹介します。


⑵ 次に、8グループそれぞれ1枚にまとめたビジュアルデータを紹介します。
下のファイル名をクリックするとPDFが開きます。


⑶ 次に各グループがワークを通して立てた「問い」とそこから見出した「ビジョンの芽」を紹介します。

1:そもそも このへん、どーなの?
 ◎地域に自然だけでいいの? ◎伝統の存続が、地域の維持につながるのか? ◎田舎は、人間関係でなんとかなる? ◎「やらない理由探し」、どうすれば、無くせる? ◎昔からのしがらみ、必要? ◎便利になれば、田舎でも人は来る? ◎他の地域のこと、知らないよね? ◎田舎のコミュニケーションのままでいいの? ◎地域活動→農業に直結 ◎地域活動の負担

2:そもそも都市部と田園部の繋がりは必要か?
何を生み出すのか? 生み出せるのか? そもそも都市部の人は田園部に何か求めることがあるか? 都市部 →→ 田園部の価値の認識 ←← 田園部

3: そもそも、「利便性」とは何か?
都市部が便利で田園が不便とは言えないかも? ◎人によって生活や大切にしているものが違う ◎買い物の利便性 ◎この先10年?住み続けたいのか◎多様な小山  ◎都市部はもっと都会に、田園部はもっと田舎に、「二極化」を目指す?

4:そもそも「子どもたちが伸び伸び育つ環境」って「住み続けられる環境」なの?
◎学校に通いやすい ◎利便性の違い ◎すぐに東京に行ける ◎子どもに良い思い出が残るまち ◎縛りのない田舎 ◎外に出たら戻って来られない ◎一度外に出ても戻ってきたい ◎不便なところに人は戻らないので、便利な環境を作り続けること ◎田園部は都会を求める、都会は自然を求める

5:そもそも「何でできないのか?」——難しいと思っているから!
こういう「小山」になれば・・・みんなが集い、おもいあうまち「おやま」◎シルクライン ◎富田—桐生—足利—小山—結城—真岡 ◎インターナショナルシティ T(サードプレイス)-OYAMA    A(アート)-OYAMA

6:そもそも 興味がない?小山のこと知らない?
そもそも なぜ情報共有ができない? もっと発信を“自分”で人任せではなく。

7:そもそも 今の小山の “ちょうどいい” は?
◎おーバス ◎水質 ◎ガソリン価格 ◎人口規模 ◎待機児童0 ◎バリアフリー ◎人、建物の距離感 ◎人の温厚さ ◎都心へのアクセス ◎土地の安さ ◎立地 サーファーもボーダーも住める街 ◎物価 野菜やお米はもらえたりする ◎分家なら家が建つ!土地が安い!◎田舎は水、空気がおいしい!

8:そもそも 自然と利便は、共存できるか?


4|参加者の感想

最後に、参加者アンケートに寄せられたコメントをいくつか、紹介します。

◎「バランス」を大事とした班がいる一方で、「二極化」を(あえてでも)選択した班があり、考え方は様々だなと思いました。このような「場」がないと考えないものです。お互いに考える機会になった点で良い機会でした。
◎地域に住む人の満足度が大事だという話。自分の地域外のこと、知らないよね、という話。地域内の&地域どうしのコミュニケーションの在り方をどうしていったら良いか考えさせられました。
◎一市民としての職員の方の意見を聞けて、面白かった。
◎交通の利便性が東京に通うために良いと思っていたが、世界につながっているということ。
◎2極化を進めるのは新たな発見。とても良いと思う。都市部が発展すれば田舎も良くなる。
◎「田んぼや畑は、そもそも自然なのか?」という問い
◎「私たちごと」のまちづくりにしていく、ということ
◎それぞれの地区の学校で、交流があると良い。
◎市街地と農村地帯の違いについて、あらためて学べました。
◎農村地帯では後継者不足に悩む方が多いです。長男の独身世帯が多いので、新たな地域構築のヒントがあったように思います。
◎あえて2極化するということ、自然と利便性は直接つながらないこと、生井地区・豊田地区の良さを知ることができた。調整区域の課題を知ることができた。
◎あえて2極化していくという発想が面白かった。
◎利便性について、これほど考えたことがなく、勉強になった。
◎各グループ、視点が違うので、良かったと思う。
◎特に、田園部の方々の考え・悩みが理解できた。各地区の交流や対話が必要だと思う。互いの理解からまちづくりに進めたいと感じています。
◎同級生に農業などの後継者となる人がいない。誰が守る?・・を生の声として実感。
◎「コウノトリ、何がいいの?」←住んでなかったものが新しく住めるように・・地区の可能性。ドキッとする「問い」もあり、刺激的でした。



報告は以上になります。
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 (アサッテ広場 編集部)

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