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未来につなぎたい大切なものは? 〜それぞれの視点で持ち寄る広場〜 未来につなぎたい大切なものは? 〜それぞれの視点で持ち寄る広場〜

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東島田ふるさとの森の保全をモデルケースに!

いよいよシリーズの最終回です。 小山市内の平地林の減少に危機感を持ったことから、小山市のグリーン・アクション・プロジェクトに参加し、東島田ふるさとの森を生かす取り組みに関わりました。最終回では、この森をはじめ、「小山市の平地林を将来へ引き継ぐには?」という点を少し長くなりますが、述べたいと思います。

小山市では、全国でも数少ない「ネイチャーポジティブ」と「ゼロ・カーボンシティ」宣言をこの10月にも行うと発表されています。 この方針のひとつの核になるのは、平地林や里山の存在と保存だと思います。

何故なら、森や林は、昆虫や野鳥の住処として生物多様性を維持し、大気と水を浄化するなどネイチャーポジティブの大きな要素です。 更に、森や林は光合成を行う際、大量の二酸化炭素(CO2)を吸収し、樹木内や大地にCO2を隔離することからゼロ・カーボンシティへの重要な役割を果たします。 温帯地域の混合林では1ヘクタール当たり300トンものCO2を蓄積するとのデータもあります。それほどに温暖化対策には、樹木が重要視されていますが、近年、気候変動の影響で森林火災が世界中で発生し、森林面積が極端に減少しています。そのことを考えれば、例え小山市内の小さな面積の平地林だとしても維持保全をすることは大切になります。

しかし、樹木は、大量のCO2を吸収隔離すると述べましたが、樹齢が高くなるとCO2の吸収率は樹齢と共に減少します。かつての平地林では、薪炭を供給するため、およそ20年毎に皆伐し、そのあと苗木を植えなおしていました。このことは、常に樹齢の若い木によってCO2が里山・平地林に吸収されていたことになります。しかし、化石燃料に頼る現在は、薪炭の需要も減って、里山・平地林は放置され、荒れ放題です。しかも、平地林の所有者は、核家族化や高齢化で保全に手が回らない状況です。加えて、平地林は転用に法的規制が緩いことから、小山市の現状のように中古車のヤードや、温暖化への貢献度よりも、逆に将来において大量の産業廃棄物化して人新世へと加速化させる太陽光パネルの設置場所に転用されています。

平地林は、適切な人為的行為が入ることによって、初めて適切な環境が維持されます。古い樹木の間伐と植樹をその平地林の植生や環境に合わせて行う必要があります。また、温暖化と共に、増えている外来害虫による樹木の枯損にも対応しなければなりません。今年は小山市でもクビノアカツヤカミキリの発生が確認され、県内各地では、ツヤハダゴマダラカミキリの被害も確認されています。更に、ナラ枯れの原因となるカシノナガキクイムシの被害拡大も報じられています。これらの昆虫は、いずれも特定外来種でこのようなことを考えると、一口に平地林保全と言っても簡単ではありません。

このための対応としては、樹木医、林業・造園関係者、昆虫や害虫防除に詳しい人材、平地林オーナー、一般市民で環境保全に興味のある人などを集め、プロジェクトチームを立ち上げ、先ず、東島田ふるさとの森をモデルケースに維持保全に取り組むべきでしょう。場合によってはこれらのチームをNPO法人化し、将来的には平地林オーナーから保全業務委託を受けることも視野に入れたい。また、森林環境税の導入に先立ち、政府は各自治体に森林保全のための金額を2019年から前倒しで支払っており、小山市にもなにがしかの額が支給されている筈です。これらを原資に平地林保全維持への体制を構築し、且つ、条例制定で平地林転用へのある程度の規制もかける必要があるかもしれません。こうした対策と併せて、平地林保有者への不動産税を軽減する、あるいは、免除するなどの施策も検討すべきかもしれません。可能なら、市有地として個人所有の平地林を買い上げることも視野に入れてほしいと思います。

東島田ふるさとの森の一部、落葉が厚く積もっているエリア

とりあえずは、東島田ふるさとの森を市民の森として有効に活用していくための保全を始めたい。具体的には、まず、定期的なフィールド調査を継続します。高樹齢のクヌギやコナラの何本かを間伐し、新たに稚樹を植え森の若返りを図る。 下草地には希少な植物もあるため、全体一律に下草刈りをするのではなく、植生地域を見極めたゾーニングを行って下草刈りを行う。降り積もった落葉を集め、堆肥として有機農業に生かす。獣害対策を講じる。枝おろしなどを含め、樹木の健全な育成を図る。こうした活動は林業従事者の専門的知識と経験が不可欠になるため、人材確保も大切です。市民の憩いの場としての平地林保全は行政と市民の協働で初めて成り立ちます。「田園環境都市おやま」に相応しい森や平地林を将来に引き継ぐために引き続き市民フォーラム等での機会を最大限に利用して、平地林保全の機運を高めるべく訴えていきたいと考えています。

東島田ふるさとの森の下草地に咲く植物の例

ナルコユリ
サイハイラン

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