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フイールドワーク報告〜東島田ふるさとの森「東島田ふるさとの森を活用しながら、守ってゆくには?」の第2話です。前回お伝えしたのは、予定されているフィールド調査の結果を踏まえ活用と保全に取り組もうとしているというところまででした。
まず、NPO法人オリザネットの協力によるフィールド調査の結果をお伝えしましょう。東島田ふるさとの森の植生についての調査結果は、落葉高木樹であるクヌギ、コナラが主体の森で、ここに様々な樹木が混在しています。例えば、シラカシ、イヌシデ、ヤマザクラなどです。また、思川河畔に近い場所にはスギやヒノキも自生します。一方、地上部の低茎草地型林床では、コバノギボウシ、サイハイラン、ヤブラン、ナルコユリ、ヤマジノホトトギス他が自生しており、豊かな植生を有している森と言えます。
また、クヌギの樹皮から染み出す樹液には、カブトムシをはじめとする昆虫が多く集まります。
以上のような調査結果を踏まえ、「市民が創る田園環境都市 小山の会」メンバーをはじめ一般市民、夏休みの子ども達、森を管理する小山市の職員など30名ほどが参加し、フィールド調査に当たったNPO法人オリザネットの齋藤光明代表と古谷愛子事務局長、そして、小山市職員で昆虫に詳しい「虫キング」こと山中 隆寛さんの3名を先生に自然観察会が8月19日に行われました。
先ず、齋藤光明代表と古谷愛子さんの先導で、森の中を散策しつつ、植生の説明、樹木の特徴、林床に自生する草花の解説を受けました。途中には、イノシシを捕獲する箱罠の設置された場所で、山中職員から箱罠についての説明も受けました。そして昆虫が潜んでいそうな倒木やクヌギが樹液を出している場所を観て回ったあと、各自捕虫網を手に昆虫採集に取り組みました。1時間ほどの採集活動を終え、それぞれが持ち寄った昆虫を調べた結果30種近くにも上ることが判り、生物多様性に富んだ森であることが実感できました。
この「東島田ふるさとの森」は豊かな植生と自然環境、そして、整備された遊歩道などの条件から、市民の憩いの場、自然観察の場としての利用価値は高く、森の中の音楽会、森の中の絵画展など市民の活動の機会にも生かせる場所であることを改めて確認しました。そのためには、最低でも、トイレと水場、そして、電源が欲しいと切実に感じました。
今回は、この森の環境と活用について述べました。 次回はこの森の保全を考えてみたいと思います。
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