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未来につなぎたい大切なものは? 〜それぞれの視点で持ち寄る広場〜 未来につなぎたい大切なものは? 〜それぞれの視点で持ち寄る広場〜

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東島田ふるさとの森、活用しながら守ってゆくには?

私は、西城南5丁目に住んでいます。気が向いた折の散歩には、城南地区の南に隣接する田園地帯の粟宮、西黒田、東黒田地区を主に歩きます。この地に住むようになって20年が経ち、その間の散歩でこれら地域の平地林が年々減少していることを目の当たりにしてきました。無くなった平地林の殆どはヤードという中古車の集積場です。また、太陽光パネルに変わった平地林もあります。宅地造成で消えた森もあります。そのような結果、散歩の折にキジを見かけることはこの10年以上なくなり、我が家にいても初夏にはカッコーの声を聞くことができたものでしたが、ここ4~5年はその声も聞こえなくなりました。

3年前の市長選後の新市政になって、「田園環境都市おやま」という言葉が使われるようになりました。広報おやまでは、「田園環境都市おやまの将来ビジョン」について語り合う市民フォーラムの開催について紹介されるようにもなりました。商工業地区と田園地帯(田畑や里山、平地林)、居住エリアとが適切なバランスで構成されている小山市であるからこそ、田園環境都市の名に相応しいとは思います。しかし、これまでのように平地林が減少してゆく姿を見ると、田園環境都市としてのバランスが崩れてしまうのではと、大袈裟かもしれませんが心配になります。

少しでも、市民レベルの協力として平地林保護に関われないものかと思案している折に、小山市が「おやまグリーン・アクション・プロジェクト」と銘打って身近な自然フィールドの保全と活用についてワークショップを開催することを知り、参加を申し込みました。そのワークショップの課題の一つに「東島田ふるさとの森」を「守る」、「利用する」にはどうすべきかという課題が挙がっていました。これこそ、私が参加している「市民が創る田園環境都市 小山の会」としての活動に相応しいと思えて、迷わずこの課題に取り組むことにしたのです。この森は、小山市が保有する保安林として、これまでは地元民やこの森に隣接する事業者が維持管理に当たっていたと聞きます。今後はさらなる保全と有効活用に向け市民のボランティアベースによる活動を生かしてゆこうとしています。

ワークショップから間を置かずに、市、環境専門家、そして我々「市民が創る田園環境都市 小山の会」による合同現地視察が実現しました。視察の結果、これまでこの森の面倒を見てくれた方々の努力の跡も見え、多様な植生や生き物に恵まれていること、一方、イノシシによる獣害も深刻なことなどを知りました。

更に、近々、森づくりの専門家も招聘しフィールド調査も行われる予定です。市の対応方針に沿って、我々市民がこの森に深く関わりを持ち、適切な平地林環境を維持していくことを目指したいと考えています。適切な人為的行為が加わることこそ良好な自然環境や生物多様性が育まれます。次回はフィールド調査に基づいた取り組みなどをご紹介できればと考えています。


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