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未来につなぎたい大切なものは? 〜それぞれの視点で持ち寄る広場〜 未来につなぎたい大切なものは? 〜それぞれの視点で持ち寄る広場〜

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小山地区◆畳店の未来_取材後記

畳店を取材することにしたけど、実家には和室がなかったり、あっても一部屋。畳の上で生活をすることが少ない私たちにはあまり馴染みがない取材で、初めはちょっと心配でした。でも立堀さんへの取材や畳が持つ効果や魅力について調べていくうちにどんどん惹かれていき、2050年の発展についてワクワクしながら想像を膨らませて記事を書くことができました!皆様にも一緒にワクワクしながら読んでいただけていたら幸いです。今回は後記として、2023年時点での感想を記します!

 取材をさせていただいた立堀タタミ内装の店舗は、私たちの通う白鷗大学(本キャンパス)からとても近く、小山駅から徒歩で約5分。「畳屋さんって昔ながらの店舗で、少し近寄りがたい雰囲気が漂っていそう…」と初めて取材に向かう道中で私たちはドキドキしていました。でもそんな緊張とは裏腹に、歩いていて徐々に見えてくるのはイマドキのカフェのようにシンプルでとってもおしゃれな外観!

こんなにおしゃれな空間で畳が販売されているのか、と驚きました。若い人でも女性でも、誰もが入りやすい雰囲気で、奥様である綾子さんが営むお隣のパン屋「iipan」と統一された外観が本当に素敵! 私たちが訪れた13時ごろには、あいにくの雨がパラパラと降っているのにもかかわらず、iipanは待っているお客さんで店の外にも列ができるほど賑わっていました。雨でもパンを求めてやって来るお客さん達を見ると、小山に根付いて愛されているんだなぁと実感。もちろん、私たちもパンを買ってみました♪ 購入したのはプレーン食パン、自家製の渋皮煮のマロンパン、ノンシュガーアップルパイの3点。

素材にこだわって作られたパンはとても美味しい!残念ながらこの日はお目当ての「いぐさあんぱん」がお休みだったのでまた別日に…!
※営業日やメニューについてはiipanのインスタグラムで更新されています。>こちらへ

美味しいパンを食べてエネルギーを付けた後は、いよいよ5代目の立堀裕保さんへの取材。タタミ店の中は、イグサの香りとiipanから来るパンの優しい香り。そんなリラックス空間で畳の歴史や現状、未来のことなどについて話しているとーーー裕保さんが「畳は、敷き詰める和室から飛び出しちゃってもいいんじゃないかな」と、私たちも常識として捉えていた畳の概念を超えた発想を話してくれました! 本編にも書いたように、思川や思川桜デザインなどの畳縁でつくられたヘアゴムやいぐさのブックカバーは、「畳は部屋にあるもの」という固定観念を壊し、より身近に感じられるとても画期的なアイデアで、私たちが2050年の畳産業を考える上でとても参考になりました。

 インタビューの後は、畳を製造する工場へ案内してもらい製造工程を見せてもらえることに!この日作っていたのは、小山市に最近引っ越してきた3人家族のお客さんから注文を受けた畳。「賃貸住宅に和室がない。子供を遊ばせるリビングに畳を敷きたい」という相談を受けたそう。

大きな機械を使うものの、手作業で行う場面も多く、1枚1枚丁寧に大切に作られていました。

後日、参考文献としてお借りしていた本をお返しに伺ったとき、再びiipanに立ち寄って、ついに念願の「いぐさあんぱん」を注文。初めて食べるイグサに「苦いんじゃないか」と思ったり、「癖がありそう」という偏見もやっぱりあってドキドキしていましたが、ずっと楽しみにしていたいぐさあんぱんの味はーーー抹茶やヨモギに近く、苦みや癖は全くなくて、とても食べやすくておいしかったです。2050年にも人気商品であることが、はっきり見えた瞬間でした。

写真提供:iipan

そして、本編(未来記事バージョン)がここに掲載された2月27日当日のこと。テレビを見ていた当ゼミの下村教授から「今、番組で偶然こんなネタやってるぞ!」と、ゼミのグループLINEで緊急連絡が。なんと、その番組では「寝転ぶだけでリラックス」と言うタイトルで、寝ている人にだけ伝導で音楽が聞こえる近未来のスピーカー内蔵型畳が紹介されていました!

私たちが想定した2050年のアイデアより優れている気がして少し悔しい気持ちもありましたが(笑)、この《畳から音楽が流れる》という発想から、
*プラネタリウムでこの畳に寝転ぶと、畳から解説と音楽が流れてくる。

*映画館の座席シートを、この畳シートにしてみる。

―――など、私たちもさらなる展望がどんどん湧いてきました!

私たちが本編で考えた、持ち運びができる「折りたたみ畳」から音楽が流れたら、自分のお気に入りの場所で寝転んで、お気に入りの音楽と共に気軽にリラックスすることができますね!

すでに始まっていた、畳の進化。これからも私たちの想像を超えた現実が登場してくるんだろうなぁ。そんな畳産業に、期待大です!

〔白鴎大学地域メディア実践ゼミ(2023年当時)/岩崎朱里・粂川美菜・中村花菜〕



本編「“イグサー”を生んだ祇園城通り、畳店の物語」>記事はこちらへ
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