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未来につなぎたい大切なものは? 〜それぞれの視点で持ち寄る広場〜 未来につなぎたい大切なものは? 〜それぞれの視点で持ち寄る広場〜

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〜未来発!おやまノート《ミニ解説》〜アサッテから振り返り、未来と今日を繋げよう

初めまして。
このコーナーの取材・執筆を担当することになったゼミナールを指導する、下村健一と申します。

「未来発!」と銘打ったこの企画は、自分は今2050年にいるのだ、という想定に立ちきって記事を書くというチャレンジです。少ない情報から未来を見通すことは、不慣れなゼミ生たちにとっては当初なかなか難しく、そこで私たちは3つのステップを立てました。

令和4年度のメディア実践ゼミメンバーと下村先生(前列右)

①《夢見る》=取材で聞いた話1つ1つを忠実に起点にして、「将来こうなったら楽しいな」を何でも思いつくたび自由に付箋(ポストイットなど)に書き留める。まさに「ヨシの髄(ずい)から天井のぞく」ような、“小さな景色”で構わない。

②《遡る》=付箋の1枚1枚から「今」(2022年)に向かって遡る方向で、間に何があったのかをざっくり埋めてみる(この思考法を「バックキャスティング」と言います)。うまく間が埋められない話は、「実現が難しい」付箋と見なして、取り除く。

③《組み立てる》=残った付箋を、似たもの同士でグループ分けし、ストーリーが繋がるように並び替える。それによって自然に、“小さな景色”のカケラから“大きな景色”が浮かび上がる。

―――はじめは何も思い描けず立ち往生していたゼミ生たちですが、私が思いつきでいくつか①の付箋を例示して対話すると、一気に水道管の詰まりが取れたように、カチカチの身体が柔軟体操でほぐれたように、自分たちのアイデアが次々と湧き上がり始めました。まさに、飛べなかったヒナ鳥たちが、急に想像の翼を拡げて大空へと巣立った瞬間を見るようでした。

ステップ①にある通り、この企画は基本的に[ポジティブ]な未来像を指向します。しかし、[ネガティブ](悲観的)な未来像の中でも、例えば今回で言えば「気候変動」はもはや現実にすぐには引き返せないスケールで動き始めてしまっていますし、「首都直下地震」は今後30年以内に「起きない」可能性の方が30%しかないとなれば、これは採り入れる方が誠実です。このコーナーがただのお花畑にならないよう、時にはこうしたシビアな見立てからも目を背けないことを、大切にしていきたいと考えています。

こうして、初回の記事は完成しました。このコーナーは今後、隔月1本のペースを目標に連載して参ります。「この記述は無理がある」「こんな展開もあるんじゃないか」等々、お読みいただいた皆さんの中にカラフルな想像や議論が生まれる《きっかけ》となったら、ゼミ生一同にとって、こんな嬉しいことはありません。ツッコミ所は、もちろん満載です。でも「できない理由」を並べるよりも「できる知恵」を皆で出し合って、小山のアサッテ(近未来)を思い描いていきませんか。萎縮するより、元気を出して。

〔白鴎大学経営学部 特任教授 下村健一〕

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