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未来に向けて先⼈の歩みを振り返る『⼩⼭の歴史』を紹介しますおやまの本棚5冊⽬は、4⽉ 28 ⽇に発⾏された『⼩⼭の歴史 ひととまちのあゆみ』(随想舎)を紹介します。 著者は、⼩⼭地区の上町で⽣まれ育った原宏さんです。
原さんは、⼩⼭歴史研究会に所属され、⼩⼭市のまちなかボランティアガイド「いいとこ教え隊おやま」のメンバーとして活動されています。ツアー参加者に⼩⼭の歴史について説明しながら、主に⼩⼭地区の史跡を巡る活動で、年間 600 名もの申込があり、⼩⼭市⺠や近隣在住の⽅だけでなく、埼⽟や東京など、県外からの参加も多いそうです。
「市内からの参加者は、健康のために歩きたいし、歴史の話も聞いてみようという⼈もいます。市外からの参加者は、江⼾時代につくられた五街道の⼀つの⽇光街道に興味があって、それで⼩⼭の歴史散策をしてみたいという⼈がけっこういますよ」と、原さん。
ガイドツアーに参加した市内の⼈からは「⼩⼭って、こんな凄いところがあったんですね!」
「⽣まれ育ったまちだけど、知らなかった。地元のこと、⾒直した!」という感想をもらうこともあって、だったら、⼩⼭の歴史の⾯⽩さを1冊にまとめて、多くの⼈に伝える努⼒をしてみよう!と、本の執筆を考え始めたそうです。
「それに、2020 年からコロナ感染が広がって、ガイドツアーが少なくなった時期があり、時間もありました」
⾼校⽣の頃から、地元の神社の祭りなどを通して、歴史には興味を持っていたそうですが、本格的に⼩⼭の歴史を学び始めたのは、定年退職後に通い始めた市⺠講座の受講がきっかけでした。
「⼩⼭歴史研究会の⼤島満雄先⽣の講義で、2年間にわたってみっちり学ばせてもらいました。本をまとめられたのも、⼤島先⽣はじめ、⼩⼭の歴史の⼤先輩たちの指導や励ましのおかげなんです。それに、⼩⼭市は、昔から、文化財の調査などを熱⼼に⾏っています。その都度の文化財調査報告資料もしっかりとまとめられていますから随分と助けられました」
先⼈たちの知⾒や調査の成果と、そこに、原さんの視点が加わって、歴史が好きかどうかには関係なく、とても⾯⽩く、どんどん読める内容になっていると思います。原さんの視点とは、本書のサブタイトルに「ひとと まちの あゆみ」という⾔葉に集約されているのだと思います。
調べていく過程で「ひと」の動きが⾒えてくると、歴史は本当に⾯⽩くなると原さんは語ります。
「本書をつくる過程で、たくさんの⽂献資料にあたりましたが、⾯⽩いと思ったのは、江⼾時代の土地に縛り付けられていたと思っていた⺠衆の記録です。江⼾の中期から現代に通じる旅の⽂化が始まるんです。⼩⼭から伊勢参りや日光山詣でに行った記録も数多く残っています。今後、現在に残っている史料なども研究して、さらに当時の人びとの生活を探ってみたいですね」
そして、ひととひとの関わり、ひととまちの変化の関わりに⽬を向けることで、歴史はさらに⾯⽩みを増すと原さんは⾔います。
「学⽣さんでも知っているような中央の武将などの歴史的な⼈物と、⼩⼭の⼈を紐付けて、その関わりを伝えること、そして、時代の変化の中で、そういう⼈と⼈の関わりや動きの中で、⼩⼭がどう変わってきたのか、そこをしっかりと伝えたいと考えました」
本書の「ひとと まちの あゆみ」は、令和の時代の⼩⼭も描かれています。終章には、「古きをかえりみて、今をみつめ、これからにのぞむ」という原さんからのメッセージが記されています。終章の本⽂から、⼀⽂を転載させていただきます。
「この地域で今を⽣きるひとびとが、これまでの先⼈の歩みを振り返ることで、⾃分たちにとって⼤切な⾜もとを⾒つめ直し、これからのまちはどうあれば良いのか、広く話し合い議論する機会を持てればと願ってやまない(転載終わり)」
『⼩⼭の歴史 ひとと まちの あゆみ』
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まちなかボランティアガイド「いいとこ教え隊」
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