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中地区-取材後記「みんな″なか″よし!一丸となって」取材班全員が、この『おやまノート』初心者という状況。中地区への取材は、テーマを決める時点から大苦戦しました。あらゆるテーマが浮かんでも、どこかオリジナリティが足りない、、、。中地区の未来って、、、?そんな不安を抱えたまま、私たちは取材に挑みました。
実際に取材が始まると、すぐに中地区の魅力と出会いました。それは、″人の温かさ″。中小学校の軽部校長先生からは、手作りの「蛍の虫籠」のプレゼントをいただきました。県南地方卸売市場の取材後には、市場長の齋川さんが駅まで送ってくださり、『だけボラ』の玉野さん(通称たっちゃん)は取材前にコンビニで買い物をしていた私たちに「もしかして、今日取材の白鴎生の、、、?」と声をかけてくださいました。
そんな″人の温かさ″に触れた中地区の30年後の未来を、ぜひ本編でお楽しみください!
>>中地区・本編は、こちらへ
今回は後記として、本編に書ききれなかった2024年時点のお話をご紹介します。
次の世代に中地区の文化を
本編でも登場した『だけボラ』。このような組織は、小山市でも中地区が初めての取り組みなようで、他の市や地区から視察に来ることもあるのだとか! ″たっちゃん″は、「基本は″お互い様″で支え合うこと。別にこの制度(だけボラ)に乗っかんなくてもいいと思う」と考え方を語ります。現に中地区では、隣近所で一緒に送迎やゴミ出しなどをしている人がいるようで、『だけボラ』の活動に限らず「住民同士で気軽に支え合える環境が残ってほしい」というのが願い。
「若い人が『こういう活動やってんだ』ぐらいに思ってくれるだけでも、関心を持ってもらうことが一番」と次の世代への期待を話してくれました。
また、本編では「1度、断念した」と言及したカフェ事業。ただ当時、設立まではいかなかったものの、事業計画の中で関わった方々が″グランドボール″を老人クラブ中心に始めたり、ビニールハウスに人を呼んで″お茶″をしたりする活動が生まれたそうで、それが本編記事での『な~かふぇ』という未来像に繋がりました。
蛍だけじゃない!自然溢れる「中小学校」
取材を進めていく中で、中小学校の軽部校長、そして蛍を守る会の塚原会長にお話を伺うと、この学校では本当に様々な行事を行っていることを知りました。
地域の方々と協力して蛍を育てることはもちろん。数年前から総合の授業の時間を使って、理科準備室の一角に小学生たちがミニビオトープを作り、「ミニ蛍を見る会」という名前で活動しています。
それだけでなく、他の学校ではあまり経験することができないような田植え、稲刈り、脱穀までを学校のすぐ隣にある田んぼでやり、できたお米を最後はおにぎりにしてみんなで食べるそう。中小学校の児童にとってそれは、忘れられない思い出の1つになっているでしょう。
学校の廊下には、壁一面に、蛍の一生について書かれた表や、脱穀の際に出る藁を使って作られたかごなどが飾られており、当たり前のように見せて下さる軽部校長と塚原さんに我々取材班は驚かされるばかりでした。
取材を終え、最後に正門の近くに建てられたビオトープを見学していると、草むらから蛇が頭を出してそっとこちらを見ていました。取材班が気になり調べてみると、どうも「ヤマカガシ」ではないか!? 我々にとっては滅多にない経験で驚きましたが、子ども達は日頃から「近づかないように」と注意されているとのこと。軽部校長、塚原さんは「ビオトープを見ている場合ではない!!」と説明を中断し、すぐさま駆除を完了させました。
そんな自然豊かな中小学校。この豊かさが変わることなく将来へと受け継がれ、児童にとっても住民にとっても、かけがえのない場所となりますように。
卸売市場を集いの場に、″新鮮″な未来へ
「市場の30年後はどうなっていると思いますか…?」
卸売市場の取材をしていくと、登録事業者が年々減少していることに加えて、市街化調整区域であるため市場の増築や建て替えが難しいといった問題がありました。そういった現状から、「将来的には業者も大事にしながら、一般の方向けの市場にしていきたい」「一般の方にも利用してもらわないと、登録事業者の売上も上がらない」と質問に答える市場長。現在も、そんな将来像を視野に、『元気朝市』や『感謝祭』、『マルシェ』などの一般消費者向けのイベントに力を入れていました。そこで、30年後の市場は、地元住民が気軽に集まれる場所になればと思い、今回の記事にしました。
市場の建物を見学した際、偶然にも冷凍マグロの解体作業が行われていました。取材班が興味津々に見ていると、冷凍マグロが保管されている冷凍庫に特別に入らせていただけることに! 冷凍庫の中には、日常生活では見られないようなカチコチに凍ったマグロがズラリ! 見学を終えた後、市場長とお話をしていくと、「30年後の市場は『コールドチェーン化』しているかも」というお話が…。これはさっきの冷凍庫の体験と一緒に記事にしたら面白い!と思いついたのが、『夏休み・場内ひんやりラジオ体操』でした。
私たちの取材後、11月30日に行われた『感謝祭』には、前年より1,000人ほど多い約4,500人の方が来場したとのこと。例年は年配の方が多く見受けられたイベントでしたが、今回は若い家族層の姿も多く、「非常に活気溢れる感謝祭となった」と市場長さんから連絡をいただきました。
続いて12月28〜30日に開催された『年末特別開放』には、なんと前年比2,000人増の約15,000人が来場! 年末ということもあり、水産物(マグロ・カニ・タコ)を中心に購入される方が多く、おせち用商材も大人気だったそうです。令和6年時点でこれほどの来場者が訪れた市場は、30年後の未来にはさらに多くの方で賑やかな市場となっていることでしょう。
―――空き家を活用した交流に発展し、地域の繋がりを深める『だけボラ』。姿を消した蛍を復活させ、その生活を支える『蛍を観る会』。地域限定イベントによって、地元住民の集いの場となった『県南卸売市場』・・・未来の中地区には、住民の温かさが感じられる場所がたくさん。蘇った″絆・支え合い・世話焼き″の気風は30年後にも受け継がれ、住民同士の″仲″の良さは、どの地区にも負けない自慢となっていることでしょう。
白鴎大学地域メディア実践ゼミ(君島太一、塚田歩夢、室井遥花、實川尚真)
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