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生物多様性調査レポート・5 
小山市内で出会う、冬鳥編

みなさん、こんにちは。「生物多様性基礎調査」(小山市内の動植物調査)で鳥類を担当している中村と申します。前回に引き続いて調査の際に観察した小山市内の鳥類ついてご紹介したいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

鳥類の調査は繁殖期と越冬期に分けて行っています。今回は越冬期の調査で見られた鳥たちをご紹介したいと思います。

まずは皆さんも観察しやすい水辺の鳥を紹介します。小山市内で水鳥を見るとすれば、市の北部にある大沼でしょう。今回の調査でも、200羽近いカモの仲間が見られました。数が多かったのはヒドリガモです。オスは茶色の頭にクリーム色の額が目立ちます。「ピュー、ピュー」とカモらしからぬ可愛らしい声で鳴くので離れていても存在に気づきます。次に多かったのはマガモです。オスは緑色の頭と黄色いクチバシが特徴です。この他、数は少ないのですが、オナガガモやコガモも見られました。

ヒドリガモの雄
マガモの雄(右)と雌

カモの中にはひときわ大きな水鳥も混じっていました。オオハクチョウです。調査の時には9羽いて、地元の方も観察に訪れていました。全身が灰色の若い個体も混じっていたので、親子でやってきていると思われます。

オオハクチョウ
左の灰色の個体は若いオオハクチョウ

冬にやってくるのは水鳥だけではありません。小鳥の仲間もやってきます。

調査をしたあちこちの樹林地でカケスの声が聞こえていました。カケスはカラスの仲間で、「ジェー、ジェー」お世辞にもキレイな声とは言えませんが、翼にある青い部分が美しい鳥です。夏の間は国内の高い山などにいて、冬に平地にやってきます。また、シメも多くの樹林地で見られました。城山公園では10羽以上が木の実を食べていて、「ピチッ」という鋭い声も聞こえて賑やかでした。この鳥は北海道で繁殖して、冬になると本州以南にやってくる漂鳥です。樹林地の中ではこの他にも、ジョウビタキやシロハラ、ビンズイ、ルリビタキ、トラツグミなどが見られました。

カケス(ドングリを咥えている) 
シメ
ジョウビタキ
シロハラ

河川沿いの草地では、一年中生息しているホオジロに混じって、オオジュリンやカシラダカ、ベニマシコなどが見られました。どの種も丈の高い草地の中にいるので見つけにくいのですが、それぞれ特徴的な声を手掛かりになります。特にベニマシコの声は「ピポッ、ピポッ」と可愛らしく、聞こえるだけで嬉しくなってしまいます。河原のような開けた環境には、冬鳥のツグミが代表的なのですが、今回の調査ではあまり記録できませんでした。理由がはっきりしませんが、少し気になる現象です。

カシラダカ
ツグミ

水鳥や小鳥類などが多いと、それを襲う鳥たちも訪れます。調査中にはオオタカやハイタカといった猛禽類が見られました。また、鳥ではなく魚を食べるミサゴというタカも思川の上空を飛んでいました。

 生態系の頂点に位置する猛禽類の存在は、鳥類をはじめとした生きものが豊富なことを示すバロメーターになっていると考えられます。

オオタカ
ミサゴ

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